映画「Winny 」を見た感想
2024年04月07日に公開
先日、Winny事件を取り扱った映画である「Winny」を視聴したのでその感想をまとめていきたいと思います。
映画の公式サイトを以下に掲載しておきます。興味のある方はぜひ
▼ 映画「Winny」公式サイト
Winny 事件の概要
Wikipediaによると、
Winny事件とは、金子氏によって開発されたファイル共有ソフト「Winny」の著作権法違反疑惑をめぐる刑事事件です。事件は2004〜2011まで続きました。
最終的には、金子氏が無罪判決を勝ち取ることができるが、約7年もの間、開発者として活躍する機会を奪われたことになります。
それでも、将来誕生する開発者・研究者たちが純粋にものづくりに向き合い、世間に貢献できる土壌を整えるためにも「無罪」を勝ち取るということに非常に意味があったようです。
金子氏は、無罪を勝ち取って間もなくこの世を去ってしまいます。
つまり、このWinnyをめぐる裁判は金子氏の人生を賭けた戦いでもあると言えると思います。
聞こえは良いですが、その人の人生を奪ったという意味ではこの事件は決して許されるものではないと私は思いました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Winny%E4%BA%8B%E4%BB%B6
Winny って何
Winny とは、P2P(Peer to Peer)という仕組みのファイル共有ソフトです。
P2Pとは、端末同士がサーバを介することなく通信できる仕組みのことです。
「Peer」という言葉は、あまり聞きなれないが以下のような意味があるようです。
Peer: 対等な立場の存在(端末)
従来は、「クライアント」と呼ばれる端末が「サーバ」というデータ管理用のコンピュータにリクエストすることにより、データの書き込みや読み込み(レスポンス)を行うのが主流だったらしいです。
現に、このウェブサイトもWebサーバと呼ばれるサーバに対して、読者が利用しているパソコンやスマホといったクライアント端末からのリクエストを送信することで、サーバがhtmlファイルを返却するようになっています。
さらに、顧客データを管理する場合などはその裏に「データベース」と呼ばれる顧客データを管理するサーバを用意するような形式を取ります。
ですが、P2Pではこのサーバを介することなく端末同士がやり取りを行うことができるのです。
つまり、P2Pには以下のような特徴があることがわかります。
- データを分散管理できる(サーバという中央集権的ものがなく、みんながデータを共有できるから分散的)
- ダウンタイムがない(サーバにアクセスが集中して、サーバがダウンしてしまうというおそれが存在しない)
- 匿名性の確保(データが分散されるため、特定の場所を攻撃したからといって全てのデータが漏洩するわけではない → 匿名性の担保ができていると言えるっぽい)
詳しいことは、以下のサイトをご覧ください。(私もこちらのサイトを参考にしました。)
https://udemy.benesse.co.jp/development/blockchain/p2p.html
上記のP2Pの特徴の中でも、金子氏は特に「匿名性の確保」に注目しました。(当時、公開された論文に感化されたらしいです)
匿名性のあるデータ共有サービスができれば、告発などの匿名性が極めて重要とされる場面で利用できるのではなかろうかと考えたのだと思います。
そして、Winnyというサービスを開発し2ちゃんねるを通して一気に普及していったわけです。
刃物の職人に殺人の容疑をかける?
次に、事件の詳細について説明をしていきます。
はじめに、質問します。
Aという人が刃物を使って誰かを殺害してしまったと仮定します。
そして、その刃物はBという職人によって作られました。
この時、Bという職人は殺人をしたと言えますか?
このシチュエーションこそが、まさにWinny事件に当てはまるのです。
Winny事件では、利用者がWinnyを利用してポルノコンテンツや著作権を侵害するようなコンテンツ(音楽や映画など)を共有した(著作権の中でも特に「公衆送信権」を侵害したと考えています)。
少し脱線しますが、著作権って結構奥が深いのでまた勉強も兼ねてブログでまとめてみようと思います。
話を戻すと、Winnyを介して違法アップロードをしていた人たちは警察によって逮捕されました。
ですが、それに伴って金子氏も家宅捜索をされたのが事件の発端というわけです。
家宅捜索の際、警察は「アップロード専用のWinnyはどれか」と尋ねます。ですが、金子氏は、所持しているPCの全てにダウンロード専用のWiinyしかインストールしていなかったのです。
私は初めこの質問の意図がわかりませんでした。ですが、全体を通して改めて考えてみるとこの公衆送信権を違反しているかどうかが非常に重要だったのだと。
以下の本を参考にしました。
▼ "図録 知的財産法"/前田健(編者),金子敏哉(編者),青木大也(編者)
不利な裁判
金子氏は、警察署に連れて行かれて尋問を受けることになります。
どうしても金子氏を逮捕したい警察は金子氏に「著作権侵害を蔓延することを目的にWinnyを開発した」ということを認める”誓約書”を書かせます。
こういった誓約書は無闇にサインしてはダメなのですね。
この誓約書のせいで、裁判が難航することになります。
しかし、誓約書の中に使用した「蔓延」という言葉を切り口にした尋問を契機に裁判は好転していきます。
この部分はぜひ映画で見てみてください。裁判の部分がこの映画の重要かつ熱い部分です!!
透明性が国組織に与えた影響
警察がなぜ急にWinnyというサービスに目をつけたかも気になりますよね。
それは、警察内の汚職の横行を裏付ける資料がWinnyに漏洩してしまったことも影響しているようです。
こういった自分たちのリスクになるものは、早めに潰しておきたいと考えるのが組織というものです。
悲しいですが、治安を維持する公務員が悪行を行わなくては生きていけない環境だったようです。
今でこそ、SNSの普及により全ての人が告発のツールを持っています。
声を上げることは非常に重要なことなのだと思いました。
ですが、その裏で傷つく人がいないか、本当にこの投稿はやる必要があるかなど十分に検討する意識が重要なことも忘れてはいけません。
出る杭を打つ日本文化
最終的に思ったことですが、ホリエモンといい金子氏といい出る杭は打たれてしまうのが世の常なのかもしれないです。人々の嫉妬・妬みといった感情はバカにできないものです。
ものづくりに携わりたい
ドラマ「リッチマン・プアウーマン」や当作品を鑑賞して共通して思ったことが、純粋にものづくりを楽しむことって素晴らしいことだなって思いました。
僕はまだ、何になりたいとかビジョンが見えていませんが、ものづくりを純粋に楽しんでいきたいなとは思いました。
エンジニアリング的なことにも興味がありますが、もっとプリミティブな「切って・削って・研磨して・接合して…」といったものづくりの過程が結構好きです。
ものづくりも少しずつ自分のペースでやってみようと思います(このサイトも1から作ってみたのですが、結構楽しいですよ)。
終わりに
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
映画に興味を持っていただけましたら、ぜひご覧になってみてください。
Amazon prime video とかでもみれます。
▼ 映画「Winny」公式サイト
じゅんき
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